備忘録・2002年2月
日々の出来事やその日に仕入れた情報をお届けします
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「ムービングセール」というのは、引っ越しをする際に少しでも運ぶ荷物を減らそうと、必要のない持ち物を希望する人たちに売り捌いてしまうという、なんともアメリカ的な合理主義に満ちた慣習である。大学構内の掲示板やスーパーマーケットの掲示板には、ところ狭しとこの手のビラが張り出されているのを目にすることが出来るし、最近ではインターネットを利用して、不特定多数の人に情報を流すことも簡単だ。
しかし、小学4年生の時に買った目覚まし時計とともに世界を旅している身としては、3年足らずとは言え自分が使っていたものが見知らぬ人の手に渡ることにちょいとばかり抵抗があったりする。もちろん、そうは言ってもなんでもかんでも日本に配送するというのも経済的にかなわぬことではあるのだが。 というわけで、苦肉の策としてムービングセールの常套手段である掲示板やインターネットを利用して不特定多数の人に呼び掛けるのではなく、よく知る友達にだけ声をかけて口コミで売り捌くということにした。家具つきの部屋を借りているとはいっても、ソファやらテレビやら各種電化製品など、あれこれと数え上げてみればざっと30品目にも及ぶ品揃えだから、準備万端に行動に移そうと思えばまあ2か月も前からやらねばならないのだが・・・。 そんなに要領よく出来た身ではないのはこれまでの人生を見れば明らかで、友達にこのムービングセールの声をかけ始めたのはほんの2週間前。我ながら無謀な計画である。まあ、最後の最後には道ばたに捨てていくよりは良かろうから、インターネットを利用して宣伝もしなければならないかと思いきや、なんとまあありがたき友人たち。一人の日本人を除いて全て外国人という顔ぶれの中、本日無事に全品目の完売となった次第。僕は車を持っていないものだから、もちろん大型の品物は入れ代わり立ち代わりいろいろな方々の協力を仰ぐこととなったが、人の情けは世界共通だということを改めて実感した。おかげで、あと6日ほど部屋に住まねばならないというのに、がらんとなにもない部屋になってしまったのはまあこれも酔狂だと思えば。 ありがたいことはこればかりではなく、ここのところ「送別会」なるものをいろいろと開いてもらって、ほんとうにもう感謝、感謝。それぞれ声のかかるグループの数が多いのは、それだけボストンで遊び歩いていたということでもあるが、人生の最大の財産が人と人とのつながりであるならば、その意味では大いに人生の修行をさせてもらったわけであるからして。 化学科の日本人会のみなさん、ソフトボールチーム「ロブギンズ」のみなさん、生物学科の中国人グループの面々、Seeberger研を卒業しボストンで働いている南米出身グループのサッカーで共に汗した輩たち、Rosenberg研の深夜組の面々と、さらには今はダートマス・カレッジに移ったハーバードのShworak研のメンバーはわざわざニューハンプシャーから駆け付けてくれたりと、ここ2週間で本当にたくさんの方に励ましてもらった。先週の金曜日には、僕の送別会ではないけれども、Rosenberg研のレセプション・ディナーが高級ホテルの「フォーシーズン」で催されて、それはそれは厳かな夕食会を堪能出来たし、もうかなり濃密な日々。 今週はさらに、Seeberger研の現役のメンバーと生物学科の日本人の方々、そしていろいろとお世話になったボストン在住の日本人の方々から誘われているというわけで、ホントにありがたいことである。 はてさて、すっかりお別れモードに浸っているわけだが、実をいうとまだ日中は実験に明け暮れていたりして、それはそれでメンバーに呆れられているのだが、なんとか最後の最後ですっきりとボストンを離れたいから、金曜日までは実験台に向かっていることになりそうだ。 「YABeT's Board from BOSTON」終了まで残り5日。 |
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今日はこのウェブサイトをインターネットに乗せて公開を始めてちょうど3年目。のべ37,850人を超える方々に支えられてきたおかげで、いつの間にやら3年も経っていたことに、感謝することしきりな日々である。
残り2週間を切ったボストンでの生活と共に、このサイトの「ボストン編」ももうすぐ終結を迎えるけれど、日本に帰ってからもなんとか続けていきたいなあと思いを新たにしている。 というわけで、今後ともどうぞよろしくお願いします。 ところで、土曜日の鍋パーティーに参加したときにいただいた「ショコラもち」一バックを、独り占めするのも惜福精神(文豪・幸田露伴が『努力論』の中で提唱した三福のひとつ)に反するので、研究室の面々に味わってもらうべく大学に持参した。 親指ほどの大きさの「雪見大福」のチョコレート版のようないでたちのチョコは、とろりチョコを餅で包み込み、それをさらにパウダーチョコが覆っているという、なんとも優雅なチョコであった。餅になじみのないアメリカ人の面々に果たして気に入ってもらえるか、はなはだ不安ではあったが・・・その反応たるや、もう持参したことが本当に良かったと思わせるに足るほどの賛辞をもらって、こちらもホクホク顔。やっぱり、うまいものはうまいのである。 しかしまあ、とても喜んでもらって、「えらいぞお」なんて言葉を僕がもらうのは、なんとも申し訳ない。本来その言葉がかけられるべきは、大分の「びーはいぶ」というお店の方々なのに。もしかして「惜福」のつもりが、福の横取りをしてしまったか。 |