備忘録
日々の出来事やその日に仕入れた情報をお届けします
先週の木曜日から突然体調を崩してしまい、悪寒と腹痛に悩まされる日々の中、土曜日にはボストン時代の友人の結婚式に出席するため、一路新幹線を乗り継いで広島県の福山にまで遠出してきました。
「サンワの森」という福山市内から車で1時間ほどのところにあるリゾートホテルで行われたウェディングパーティーは、新郎が奏でるチェロをピアノ五重奏(シューマン)の調べの中に聞きながら、おいしい料理に舌鼓を打つという和やかなガーデンパーティで、その当日にすっかり体調が回復したこともあってしっかり堪能することが出来ました。
遠出から帰ってきてコンビニ弁当に箸をのばして夕食をとる今この瞬間・・・。浮き世離れした優雅な世界から現実世界へ、さっと素早く引き戻されて、明日からまた日常が始まります。
東京の住まいは国分寺市。職場から自転車で5分という場所に住まいを見つけました。
この国分寺というのは、741年の天平の時代に聖武天皇が建てた武蔵国分寺にちなんだ地名です。東西900m、南北550mの大伽藍といいますから、それはそれは大きなお寺があったものです。そもそも、当時はびこっていた天然痘と飢饉から武蔵野の国を守るために建てられたものなので、その敷地の中に建設された国分僧寺と国分尼寺を中心として、病院と福祉施設を兼ねた総合大学のような存在として機能していたものだったようです。
今でもこの辺りには大学が多く点在していて、国分寺というと学生街というイメージを残しているのは、そんな歴史を考えるとなかなかに面白いところです。
それにしても何故ここにこんな大きなお寺を、といえば、武蔵国の首都であった府中のお膝元というのは言わずもがな。新田義貞の合戦で焼失したと伝えられているので、ざっと600年の長きに亘ってこの武蔵の国を守っていたことになります。
今はもう跡形も何も残っていないので、原っぱの史跡公園となっていますが。
その他にも、元ボクシング世界チャンピオンの輪島功一さんの「だんごの輪島」があったり、なつかしや『タイムボカン』などのアニメを世に送りだした「タツノコプロ」があったり、さいとうたかをや永島慎二といった大物漫画家の集っていた名曲喫茶「でんえん」があったり、田舎ながらに散策しがいのある街なのでした。
でも、職場まで5分の距離だけに、毎日その往復をしているだけで、散策とは縁遠いのですが。
昨日のこと。帰国以来初めて散髪に出かけました。
実に丸3年ぶりの床屋。日本人に髪を切ってもらうのが、こんなに懐かしい思いがするものだとは思いもしませんでした。
まあ、といって僕は髪型にうるさいどころか無頓着な輩ですから、散髪師が日本人だろうがアメリカ人だろうが、イタリア人だろうがスペイン人だろうが、一向に問題はないのです。椅子に座ってしまえば後は一言「短く」と伝えるだけのことですから。
しかしそうは言っても、懐かしさは湧き立つもの。髪を短く一通りハサミを入れた後におもむろに石鹸の泡を立て、しゃーしゃーと顔にカミソリをあててヒゲを剃るなんてのは、ああ、げに懐かしや。
カミソリを使うことをその理由に、そもそもの理髪師とは「医師」の免許を必要としたとか。それが証拠に、床屋さんの店先で忙しそうに回転している広告塔は、青と赤と白がくねくねと回転しているけれども、青は静脈を、赤は動脈を、そして白は包帯を表していて、まさにお医者さんの広告塔だったりするし。
きっとアメリカにはそんな歴史はなかったのだろうなあ。だって、一度とてアメリカのバーバーショップで顔を剃られたなんてなかったもの。
そしていよいよここが日本だと言うことを噛み締めさせてくれる光景。顔を剃り終わるや目の前の鏡の下の引き出しをパカッと開けると洗面台が出現し、座ったまま頭を洗ってくれるというあれ。「かゆいとこありませんかア」とかなんとか言いながら。そしてそれが終わると、肩をポンポンと簡易マッサージまでしてくれると来た日には、思わず「そうそう、こんなのもあったなあ」なんて、嬉しさのあまり涙も溢れようかという勢い。
まあ、おかげで向こうでは所要時間15分という散髪が、ゆうに倍はかかってしまうことになるわけですが。でも、アメリカのバーバーショップ帰りはなにしろ切りっぱなしだということもあってちくちくと切ない気分に沈むので、なるべく夕方頃に行っていたものだったけれど、こちらの床屋帰りはまさに身も心もさっぱり感に包まれるというのはいいねえ。
出来上がりは・・・MITの学生会館地下のバーバーショップのいかついお兄ちゃんが懐かしい。
2か月ぶりの更新です。
ボストンから消えたと思ったらとたんに音信不通になってしまったもので、いろいろなところから安否を問うメールをいただきました。
ご心配をおかけしましたが、なんとかサイトの再開にこぎつけましたので、今後ともよろしくお願い致します。
なお、これまでの「YABeT's Board」からタイトルを「YABeTs.net」に変更し、何かまた新しい企画を始めたいなと思っていますのでご期待ください(と言っても、まだ「なにかしたいなあ」という段階ですので、まあ気長に)。
さてさて、ボストンを後にして、僕は東京都の武蔵野にやってきました。(財)東京都医学研究機構という東京都の管理団体組織の中にある、東京都神経科学総合研究所というところです。
この研究所は府中市にありますが、「府中」といえば・・・まあ、3億円事件で知られる刑務所とかJRA東京競馬場とか多摩川競艇場とか、ラグビーの東芝府中とかサントリーとか、人によって思い立つものもいろいろでしょうが、何てったって「元・関東の中心地」というのが僕の印象なのでした。
645年の大化の改新のときに武蔵国の国府を置いたのがこの場所。今は「大國魂(おおくにたま)神社」のある辺りにあったこの国府は、まさに関東地方を束ねる首都として機能していたところなのです。ちなみに、この物々しい名前の大國魂神社は、歴史上は六所宮(ろくしょぐう)と呼ばれていたもので、つまりは関東一円の神様をここに集めて国府のお役人があちこちの宮を回る手間を省くために作られたお宮。お役人さんていつの時代も本当に・・・。
現在の府中市近辺は、まあ当時のように「関東一帯を統率する首都」なんて面影もどこへやらの、静かなたたずまいの街。気が散らない街です。はい。
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